「P-Shot(ピーショット)」という治療をご存じでしょうか。
P-Shotは、患者様ご自身の血液から作製したPRP(多血小板血漿)を男性器に注入し、男性器の健康や機能の改善を目指す治療として、米国で考案されました。最近では、当院でも「P-Shot」「Pショット」「ピーショット」といった名称でお問い合わせをいただくことが増えています。
当院でも男性器に対するPRP治療を行っていますが、厳密には、当院の治療をそのまま「P-Shot」と呼ぶことはできません。「P-Shot」と「男性器へのPRP治療」は、一般には同じような意味で使われることがある一方、本来は異なる意味を持つ言葉であり、この点が少し分かりにくくなっています。
また、男性器領域へのPRPの活用については現在も研究が進められており、PRPの作製方法や注入方法、治療目的なども一様ではありません。そのため、「P-Shot」や「PRP治療」という名称だけで治療内容を判断するのではなく、実際にどのようなPRPを、どのような目的・方法で使用する治療なのかを理解することが大切です。
この記事では、P-Shotという名称の由来から、PRP治療との違い、治療の仕組み、期待されている作用やリスク、現在の医学的な評価まで、海外の医学論文や専門機関の見解をもとに、医師の立場から分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- P-Shot(ピーショット)という名称の由来と、米国における位置づけ
- P-Shotに用いられるPRPの特徴と、男性機能領域における研究・報告
- 男性器へのPRP治療を受ける前に知っておきたいポイント
- 康静会が取り組む「増大・機能再生PRPG注射」の歩みと特徴
P-Shot(ピーショット)とは

P-Shotとは、患者様ご自身の血液からPRP(多血小板血漿)を作製し、男性器へ注入する治療として米国で考案された名称です。
正式名称は「Priapus Shot(プリアパス・ショット)」で、P-Shotはその略称です。「Priapus」は、ギリシャ神話に登場する豊穣の神「プリアポス」に由来しています。
そのため、「P」は治療に用いる「PRP」や「Penis(陰茎)」の頭文字と思われがちですが、実際には「Priapus」の頭文字です。
P-Shotの公式サイトでは、Charles Runels医師が2010年にこの治療法を考案したと説明されています。[1]その後、「Priapus Shot」および「P-Shot」は、血液由来の成長因子(PRP)を用いて男性器の大きさや機能の改善を目指す医療サービスの名称として、米国特許商標庁に商標登録されました。[2]
したがって、P-Shotは医学的に定義されたPRP陰茎注射の一般名称ではなく、特定のPRP注入プロトコルに付けられた登録商標です。米国では、正式に「P-Shot®」の名称を使用できるのは、所定のライセンスを受けた医療機関に限られています。
※本記事では、一般の方が検索する際の表記に合わせて「P-Shot」と記載しますが、これは米国でサービスマークとして登録されている名称です。
P-Shotで使用されているPRPとは

PRPは「Platelet-Rich Plasma」の略で、日本語では「多血小板血漿」と呼ばれます。
採取した血液を遠心分離すると、赤血球や血漿、血小板などの成分に分けることができます。その中から、血小板を多く含む部分を取り出したものがPRPです。
血小板には、血液を固めて出血を止める働きだけでなく、組織の修復や再生に関わるさまざまな成長因子が含まれています。PRP療法は、こうした自己血由来の成分が持つ働きを利用する治療として、整形外科、皮膚科、形成外科など、さまざまな診療領域で研究・活用されてきました。
男性器領域においても、PRPに含まれる成長因子が血管新生や組織修復などに関与する可能性があると考えられており、ED(勃起不全)をはじめとする男性機能への応用について研究が進められています。[7]
ただし、「PRP」と呼ばれる治療がすべて同じ内容というわけではありません。採血量や遠心分離の方法、血小板濃度、白血球の含有量、活性化の方法、さらには投与量などによって、作製されるPRPの性状は大きく異なります。
PRPではどのような効果が期待されているのか
海外では、男性器へのPRP治療について、主に次のような目的で案内・研究されています。
- ED(勃起不全)の改善
- 勃起時の硬さや持続力の改善
- 陰茎の血流や組織環境の改善
- 陰茎や亀頭の大きさ・ボリュームの改善
- ペロニー病に伴う症状への応用
ED、男性機能、陰茎・亀頭のボリューム改善では、それぞれ治療の目的や評価方法が異なります。そのため、「PRP治療」という名称だけで一括りにせず、実際に使用する製剤や注入方法を確認することが重要です。
男性器へのPRP治療の医学的評価
男性器へのPRP治療について、これまでに報告されている研究内容を紹介します。
改善を示した臨床試験がある
2021年には、軽度から中等度のED患者60名を対象に、PRPによる治療を行ったグループと、比較のために生理食塩水を注入したグループを比較する臨床試験が行われました。
どちらの治療を受けたかを患者様や評価者に分からないようにして比較した結果、6か月後に勃起機能の「臨床的に意味のある改善」を示した割合は、PRP群69%、比較群27%でした。[3]
※比較群とは、PRPの代わりに比較用の生理食塩水を注入したグループです。

2023年に報告された100名を対象とする比較試験でも、PRP群では1か月後および3か月後に、勃起機能を示す指標などの改善が報告されています。[5]
さらに、複数の研究結果をまとめて分析した系統的レビュー・メタ解析でも、血管性EDに対するPRP治療は有望である可能性が示されています。[6]
男性機能領域で研究が進められている
欧州泌尿器科学会(EAU)のガイドラインでも、EDに対するPRP治療の複数の臨床研究が取り上げられています。[7]
研究によって結果には違いがあり、対象となる患者様の状態、PRPの作製方法、注入量、注入回数、評価時期なども異なることから、より適切な治療方法や評価に向けて、現在も知見の蓄積が進められています。[4][7]
陰茎・亀頭の増大を目的とする場合に確認したいこと

男性器へのPRP治療では、男性器の大きさや機能の改善を目指すことが、治療目的の一つとして示されています。
ただし、ひと口に「PRP」といっても、その内容は一様ではありません。先ほども述べたように、医療機関によってPRPの作製方法が異なるため、血小板濃度や性状、投与量などにも違いがあります。また、PRPを単独で使用するのか、ほかの成分を組み合わせるのかによっても、治療内容は異なります。
さらに、男性器への注入では、陰茎や亀頭のどの部位に、どの程度の量を、どのように注入するかも重要です。目的とする部位へ適切に注入する技術に加え、注入後の処置や管理方法についても、医療機関によって考え方や方法が異なります。
このように、同じ「男性器へのPRP治療」という名称であっても、使用するPRPの内容、注入方法、施術後の管理など、実際の治療内容には医療機関ごとに違いがあります。
そのため、治療を検討する際には、単に「PRP治療を行っているか」だけではなく、どのような治療が行われ、どのような変化が期待できるのか、どのようなリスクがあるのかを十分に確認することが大切です。あわせて、治療実績や症例、治療後のアフターフォロー体制なども確認したうえで、治療を受けるかどうかを検討するとよいでしょう。
治療を検討する際の確認ポイント
- PRPの作製方法や品質
- PRP以外の成分を使用しているか
- 注入する部位・方法・投与量
- 必要な治療回数
- 男性器へのPRP治療に関する専門性や治療実績
- 症例写真など、実際の治療経過を確認できるか
- 治療後のアフターフォローを受けられるか
男性器へのPRP治療の副作用・リスク
男性器へのPRP治療では、採血や注入に伴い、次のような症状や合併症が生じる可能性があります。
- 注入時または注入後の痛み
- 出血、内出血、腫れ、赤み
- 一時的な違和感や圧痛
- 感染
- 左右差や凹凸
- 硬結や線維性の変化
- 一時的なリンパ浮腫
- 期待した効果が得られない可能性
自己血由来のPRPを使用するため、比較的安全性の高い治療とされていますが、陰茎への注入に伴う一般的な合併症が生じる可能性はあります。そのため、治療を受ける前に、期待される効果だけでなく、起こり得るリスクについても十分に理解しておくことが大切です。[8]
康静会が行う増大・機能再生PRPG注射

康静会では、男性器領域へのPRP治療が国内でまだ一般的ではなかった2008年から、PRPの基礎研究に取り組んできました。
現在提供している「男性器に対するPRPG注射」は、こうした基礎研究と、康静会が長年培ってきた臨床経験、再生医療の知見をもとに発展してきた治療です。
患者様ご自身の血液から抽出したPRPと、効果を安定化させるための医療用成長因子を組み合わせた製剤(増大カクテル)を、亀頭・陰茎、陰茎皮下、陰嚢などに注入し、男性器のボリュームアップや男性機能の改善、外見上の若返りなど、総合的な改善を目指します。
患者様一人ひとりのお悩みや状態、ご希望を丁寧に確認したうえで、適切な治療をご提案しています。
PRPについてよくある質問
P-ShotとPRP治療は同じものですか?
PRP治療は、PRP(多血小板血漿)を用いた治療の総称です。一方、P-Shotは特定のPRP注入プロトコルを指す登録商標であるため、両者は区別して使用する必要があります。
日本でP-Shotという名称の治療を受ければ、米国と同じ内容ですか?
同じとは限りません。医療機関によってPRPの調製方法、添加成分、注入部位・注入量、治療目的などが異なる可能性があります。
男性器へのPRP治療を受けると男性器は必ず大きくなりますか?
治療による変化の程度には個人差があります。また、使用する製剤や注入部位・注入量によっても治療内容は異なります。
まとめ
P-Shotは、自己血由来のPRPを男性器に注入し、男性器の健康や機能の改善を目指す治療として、2010年に米国で考案された商標名です。
EDに対するPRP治療については、改善を示した臨床試験やメタ解析が報告されており、再生医療の新たな選択肢として研究が進められています。一方、陰茎・亀頭の増大を目的とする治療では、使用する製剤、組み合わせる成分、注入方法などによって治療内容が異なります。
康静会では、男性器領域へのPRP治療が国内でまだ一般的ではなかった2008年から、PRPの研究に取り組んできました。これまでに培ってきた再生医療の知見と臨床経験をもとに、一人ひとりのお悩みや状態を確認したうえで、治療をご提案しています。
参考情報 [1]:Priapus Shot Official Providers Website. 公式情報
参考情報 [2]:United States Patent and Trademark Office. P-SHOT, Registration No. 4820964. 登録情報
参考文献 [3]:Poulios E, et al. J Sex Med. 2021;18(5):926-935. 論文
参考文献 [4]:Masterson TA, et al. J Urol. 2023. 論文
参考文献 [5]:Shaher H, et al. Urology. 2023;175:114-119. 論文
参考文献 [6]:Falcone M, et al. World J Mens Health. 2026;44(1):23-35. 論文
参考情報 [7]:European Association of Urology. ガイドライン
参考情報 [8]:Cleveland Clinic. P-Shot. 解説