「しこりができることはあるの?」
「もしできたら治るの?」
PRP注射を検討している方の中には、こうした不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
PRP注射は、ご自身の血液から採取した血小板を利用して組織の修復や再生を促す再生医療です。自然な仕上がりと長期間持続する効果が期待できる一方で、医療である以上、メリットだけでなくリスクについても理解しておくことが大切です。
この記事では、PRP注射でしこりが生じる理由や発生しやすい条件、他の注入治療との違い、万が一しこりができた場合の対処法まで詳しく解説します。
この記事でわかること
- PRP注射でしこりができる理由
- しこりができやすいケース
- ヒアルロン酸や脂肪注入との違い
- しこりができた場合の治療方法
- しこりを予防するために重要なポイント
PRP注射でしこりはできることがある?

結論からお伝えすると、PRP注射でもしこりが生じる可能性はあります。ただし、これはPRP注射だけに限った話ではありません。
ヒアルロン酸、脂肪注入、コラーゲン製剤など、皮膚のボリュームを改善する注入治療では、種類を問わず一定の割合でしこりが発生する可能性があります。
重要なのは、「しこりが起こり得る治療かどうか」ではなく、「どれだけ発生リスクを抑えられるか」という点です。
PRP注射でしこりができる理由
PRP注射では、ご自身の組織が再生する過程で細胞の増殖が起こります。この再生反応が一部で強く起こると、皮膚の下に硬さを感じる部分ができることがあります。
しこりは主に次の3つの組織から構成されます。
① プロテオグリカン
プロテオグリカンは軟骨にも存在する成分です。PRP注射後に脂肪幹細胞が軟骨系の細胞へ分化すると、このプロテオグリカンが産生され、それがしこりの土台となることがあります。
② 脂肪細胞
PRPは脂肪幹細胞にも働きかけます。その結果、新しい脂肪細胞が増えることでボリュームアップ効果が得られますが、局所的に反応が強くなると、ふくらみやしこりとして触れることがあります。
③ コラーゲン
PRP治療ではコラーゲン産生も促進されます。コラーゲンは肌のハリや弾力を保つために重要な成分ですが、局所的に増えすぎると硬さを感じる原因になる場合があります。
しこりができやすくなる要因
同じPRP注射でも、しこりができやすさにはいくつかの条件があります。
成長因子(FGF)の濃度
PRP治療では、成長因子の濃度設定が非常に重要です。濃度が高すぎれば再生反応が過剰となり、しこりのリスクが高まります。反対に低すぎると十分な再生効果が得られません。
つまり、十分な効果を得ながらリスクを抑える濃度設定が重要になります。
注入量
必要以上に多く注入すると、その分だけ再生反応も強くなります。そのため、一人ひとりの皮膚の状態や目的に合わせた適切な注入量を判断することが重要です。
注入技術
PRPは注入方法によって仕上がりが大きく変わります。同じ量でも、
- 一か所へまとめて注入する方法
- 少量ずつ細かく分散して注入する方法
では、しこりの発生リスクが異なります。均一に細かく注入することで、再生反応も均等になり、自然な仕上がりにつながります。
皮下脂肪の量
皮下脂肪が多い部位では脂肪幹細胞も多く存在するため、再生反応が強く出やすい傾向があります。そのため、成長因子濃度・注入量を部位ごとに調整することが大切です。
PRP注射だけがしこりのリスクを持つわけではありません
「PRPはしこりができるから心配」と思われる方もいますが、実際にはほとんどの注入治療に同様のリスクがあります。
- ヒアルロン酸注射
- 脂肪注入
- コラーゲン製剤
などでもしこりは起こり得ます。治療法によって原因は異なりますが、「皮膚の下へ物質を注入する」という点では共通しているためです。
ヒアルロン酸注射でもしこりは起こりうる

ヒアルロン酸注射は、皮膚の下へヒアルロン酸製剤を注入してボリュームを補う治療です。つまり、注入直後から皮膚の下にはヒアルロン酸という物質が存在しています。
ヒアルロン酸は時間とともに体内へ吸収されますが、すべてが均一に吸収されるとは限りません。長期間経過すると周囲のコラーゲンと癒着し、硬さや凹凸として触れる場合があります。
「ヒアルロン酸は溶かせるから安心」と思われることがありますが、時間が経過した製剤は完全に元の状態へ戻せないケースもあります。
脂肪注入でもしこりができることがある

脂肪注入は、ご自身の脂肪を採取して注入する治療です。自己組織を使用するため安全性が高いというイメージがありますが、脂肪注入にも特有のリスクがあります。
注入した脂肪は、生着する脂肪と吸収される脂肪に分かれます。吸収される過程で一部がオイル化したり、嚢胞(のうほう)を形成したり、さらに時間の経過とともに石灰化することがあります。これらはすべて、皮膚の上から触れる「しこり」の原因となります。
注入治療には共通して一定のリスクがあります

PRP注射だけを特別な治療と考える必要はありません。ヒアルロン酸、脂肪注入、コラーゲン製剤、FGF製剤など、皮膚へボリュームを与える治療では、それぞれ異なる原因でしこりが発生する可能性があります。
そのため重要なのは、「しこりが起こる可能性があるか」ではなく、「どれだけリスクを減らせる治療を行っているか」という点です。
PRP注射によるしこりはどれくらいの頻度で起こる?
PRP注射は医療機関ごとに、PRPの調製方法・成長因子の種類・濃度・注入方法が異なるため、全国的な発生率を示したデータは十分ではありません。
また、同じPRP治療という名称でも治療内容は施設によって大きく異なるため、単純な比較はできません。そのため、症例数や長期経過を十分に経験している医療機関で治療を受けることが重要です。
PRPのしこりはがんになる?

「しこりができる」と聞くと、悪性化を心配される方も少なくありません。しかし現在までに、PRP注射やFGFを用いた治療によって生じたしこりが、がん化したという報告はありません。
また、プロテオグリカン・コラーゲン・脂肪細胞はいずれも本来体内に存在する組織です。そのため、しこりができたとしても、それ自体が健康へ悪影響を及ぼすことはないと考えられています。
しこりができた場合は治療できる?
もししこりが生じても、外見上ほとんど分からず、触った時だけ気付く程度であれば経過観察となることが少なくありません。一方で、膨らみが目立つ場合や見た目が気になる場合には、状態に応じて治療を検討します。
例えば、プロテオグリカンが主体の場合はヒアルロニダーゼなどを使用し、組織を軟らかくする治療を行うことがあります。脂肪成分が主体の場合は脂肪溶解作用のある薬剤を使用し、膨らみを改善します。コラーゲン成分が主体の場合は、適切に希釈したステロイドを使用することで改善が期待できます。
実際には、どの成分が主体となっているかは一人ひとり異なるため、診察のうえで治療方法を選択します。
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PRP注射でしこりを予防するために重要なこと

しこりのリスクを完全にゼロにすることはできません。しかし、以下のような点を適切に管理することで、発生リスクをできる限り抑えることができます。
- 患者様ごとの適応を慎重に判断する
- 部位に応じた成長因子濃度を選択する
- 必要最小限の注入量に調整する
- 少量ずつ均一に注入する
- 長期経過まで考慮した治療計画を立てる
これらはPRP治療の仕上がりを左右する重要なポイントです。
よくある質問
PRP注射を受けると必ずしこりになりますか?
いいえ。必ずしもしこりができるわけではありません。適切な治療計画や注入技術によって、発生リスクを抑えることが可能です。
しこりは自然に治りますか?
小さなしこりは時間の経過とともに目立たなくなることもあります。気になる場合は医師へご相談ください。
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しこりは健康に悪影響がありますか?
現在のところ、PRP注射によるしこりが健康被害やがん化につながるという報告はありません。
まとめ
PRP注射は、ご自身の組織を再生させることで自然なボリュームアップや肌質改善を目指す再生医療です。
一方で、再生反応が強く生じた場合には、しこりが形成される可能性があります。しかし、このリスクはPRP注射だけに限られたものではなく、ヒアルロン酸や脂肪注入など、多くの注入治療にも共通しています。
大切なのは、「しこりが起こる可能性があるか」ではなく、「そのリスクをどのように抑え、安全性と効果のバランスを考えて治療を行うか」です。
PRP注射を検討される際は、治療実績や長期経過を十分に確認し、一人ひとりの状態に合わせた治療計画を提案している医療機関を選ぶことが重要です。