顔の血管が目立つ原因は、大きく分けて「体質的に血管そのものが拡張している場合」と「加齢などによって皮膚や皮下組織が薄くなり、もともとある血管が透けて見えている場合」があります。
また、同じ「顔の血管」でも、頬や鼻にみられる細い赤い血管と、目の下・こめかみ・額などにみられる青〜緑色の比較的太い血管では、血管の種類や深さが異なり、適した治療法も異なります。
赤い細かな血管にはレーザー治療が適していることがありますが、血管の走行が明確に確認でき、10本程度までの限局した血管であれば硬化療法(フェイススクレロセラピー)で治療可能なケースもあります。
この記事では、顔の血管治療を行っている血管専門医が、顔の血管が目立つ原因、赤い血管と青い血管の違い、部位ごとの特徴、レーザーと硬化療法の違いについて症例を交えて解説します。
顔の血管が目立つ原因
顔の血管が以前より目立つようになる理由は一つではありません。
主に次のような原因があります。
1. 加齢による皮膚・皮下組織の変化
年齢とともに皮膚のコラーゲンや皮下脂肪が減少すると、皮膚の下を走っている血管が透けて見えやすくなります。
特に、目の下、こめかみ、額など、もともと皮膚や皮下組織が薄い部位では、青色や緑色の血管が目立つことがあります。この場合、必ずしも血管そのものに異常があるとは限りません。
2. 生まれつきの皮膚の薄さ・体質
若い方でも、生まれつき皮膚や皮下脂肪が薄い場合には、目の下やこめかみ、口元、鼻周りなどの血管が目立つことがあります。
3. 紫外線などによる皮膚への影響
顔は常に紫外線にさらされています。長期間の紫外線ダメージによる皮膚の変化によって、皮膚表面の血管が以前より目立って見えることがあります。
4. 毛細血管の拡張
皮膚表面近くの細い血管が拡張すると、赤い線状あるいは網目状の血管として見えるようになります。鼻の周囲や頬などでよくみられ、一般に「毛細血管拡張症」と呼ばれる状態が含まれます。
5. 酒さなどの皮膚疾患
顔の赤みとともに毛細血管が目立つ場合は、酒さなどの皮膚疾患が関係していることがあります。
「赤い血管」と「青い血管」は何が違う?
顔の血管治療を考えるうえで重要なのが、血管の色・太さ・深さです。
赤い細かな血管

頬や小鼻の周囲、目の上などにみられる細い赤色の血管は、皮膚の比較的浅いところにある細かな血管が拡張しているケースが多くみられます。
このタイプでは、血管の走行や範囲、本数などによって、Vビームをはじめとした血管レーザーか、硬化療法(フェイススクレロセラピー)のどちらが適応となるかを見極める必要がなります。
青〜緑色の比較的太い血管

目の下、こめかみ、額などに一本または数本の青〜緑色の血管がはっきり見える場合には、毛細血管よりも太く、皮膚のやや深い位置にある静脈が透けて見えていることがあります。
このタイプでは、レーザー治療でなく、血管内へ直接薬剤を注入する硬化療法が治療の第一選択肢になります。
つまり、「顔の血管を消したい」と考えた場合でも、まず血管の種類や状態を見極め、その治療が向いているかを適切に判断することが重要です。
【症例から見る】部位ごとに異なる顔の血管の見え方
康静会グループで実際に治療を行った症例をもとに、顔の部位ごとに異なる血管の特徴や目立ちやすくなる背景についてご紹介します。
こめかみ・額の血管

こめかみや額では、加齢による皮下脂肪の減少やもともとの解剖学的特徴によって、青〜緑色の血管が目立つことがあります。表情を動かしたときや運動後など、血流が増えた際にさらに目立つ方もいます。
特に表情を動かした際に血管が強調されやすく、「顔つきが硬く見える」「男性的な印象になる」と感じ、気にされる方も少なくありません。
こめかみや額の血管は、ほとんどのケースで硬化療法で改善が期待できます。
頬の血管

頬では細かな赤い血管が網目状に目立つタイプと、青色の比較的太い血管が一本ずつ見えるタイプがあります。いずれのケースでも、硬化療法かレーザー治療のどちらが適しているかは、見た目だけでは判断が難しいため、専門医による診察で血管の太さや深さを評価したうえで治療法を選択することをお勧めします。
目の下の血管

目の下は顔の中でも特に皮膚が薄い場所です。そのため、正常な静脈であっても皮膚越しに青く透けて見え、「クマのように見える」「疲れて見える」と感じることがあります。その結果、実年齢より疲れて見えたり、老けた印象を与えてしまいやすい点が特徴です。
また、目の横下で目立つ場合は、ほくろやシミと同じ感覚で目立ってしまい、消したいというご希望が多い部分です。
目の下の血管はほとんどのケースで硬化療法で改善が期待できます。
口元の血管

口角や口の周囲でも、皮膚や皮下組織が薄い方では血管が透けて見えることがあります。表情によって血管の目立ち方が変化することも特徴です。
血管が細いため、消せないとあきらめている方が多いですが、正しいスクレロセラピーの技術を持った医師であれば改善することが可能です。
顔の血管は自分で消すことができる?

すでに皮膚から見えている血管そのものを、スキンケアやマッサージだけで消すことは一般に困難です。ただし紫外線対策や保湿、過度な摩擦を避けることは、皮膚への刺激を減らすという意味で重要です。
また、飲酒や温度変化によって一時的に顔が赤くなっているだけの場合には、原因となる刺激を避けることで赤みが軽減する場合があります。
「常に同じ場所の血管が見えている」のか、「一時的に顔全体が赤くなる」のかによっても考え方が違います。
顔の血管を消す治療法
顔の血管治療には大きく分けて2通りの方法があります。重要なのは、どちらの治療が優れているかではなく、どの血管にどの治療が適しているかです。
硬化療法(フェイススクレロセラピー)
硬化療法は、目立っている血管の中へ薬剤(ポリドカのロール)を注入し、血管を閉塞させ、時間とともに目立たなくしていく治療です。
下肢静脈瘤などの静脈治療で長く使用されてきた方法で、当院では顔面の血管の太さ・深さ・走行などを確認したうえで、顔の目立つ血管に応用しています。
特に、目の下・こめかみ・額などにみられる比較的太く、走行がはっきり分かる血管では治療選択肢となることがあります。
まぶた周辺の血管への施術
皮膚が薄く血管が目立ちやすいまぶた周辺では、血管の走行や深さを確認しながら、目立つ血管に対して的確にアプローチしている様子をご覧いただけます。
鼻まわりの血管への施術
鼻まわりには細い血管が複数走行しているため、1本ずつ状態を見極めながら、必要な部分にのみ少量ずつ丁寧に注入していく工程をご覧いただけます。
広い範囲に分布する血管に対して、細かな調整を行いながら施術している点が特長です。
血管レーザー
Vビームなどの血管レーザーは、血液中のヘモグロビンに吸収される光を利用し、血管へ熱作用を与える治療です。
特に皮膚表面近くの赤い細かな血管や、毛細血管拡張症などで用いられています。レーザーの種類によって到達する深さや適する血管径が異なるため、対象となる血管に応じた機器選択が必要です。
フェイススクレロセラピー(硬化療法)とレーザー治療との違い
| フェイススクレロセラピー (硬化療法) | 血管レーザー | |
|---|---|---|
| 治療方法 | 目立つ血管内に硬化剤を注入し、血管を閉塞させて徐々に目立ちにくくする | レーザーを照射し、血液中のヘモグロビンに熱作用を与えて血管を目立ちにくくする |
| 適している血管 | 表面から血管の走行を確認できる血管、限局して目立つ血管 | 細かな血管、血管の走行がはっきり確認できないもの、広範囲に赤みが広がっているもの |
| 血管の色 | 赤い血管から青〜緑色の血管まで、状態によって治療可能 | 赤い血管・毛細血管拡張などが主な対象 |
| 血管の太さ・深さ | 注射針で血管内にアプローチできる血管が対象 | 使用するレーザーの種類や波長によって適応が異なる |
| 治療範囲 | 目立つ血管が限局している場合に適している。目安として10本程度まで | 広範囲に多数の血管や赤みがある場合にも適している |
| 主な部位 | 目の下・こめかみ・額・頬・口元など | 頬・鼻・小鼻など |
| メリット | 目立つ血管を1本ずつ直接治療できる | 広範囲をまとめて治療しやすく、非常に細かな血管にも対応しやすい |
| 治療選択のポイント | 血管の走行が明確で、直接アプローチできる場合に選択しやすい | 血管が細かすぎて走行を確認できない場合や、広範囲の場合に選択しやすい |
※赤い血管=レーザー、青い血管=硬化療法と単純に分けるわけではありません。血管の色・太さ・深さ・走行・本数・治療範囲などを総合的に評価して治療法を選択します。
皮膚が薄くて血管が透けている場合にはPRP注射も併用

顔の血管が目立つ原因が、血管そのものだけとは限りません。特に目の下やこめかみでは、加齢などによって皮膚や皮下組織が薄くなり、正常な血管が目立っているケースがあります。
この場合には、血管だけを治療するのではなく、PRP(自己多血小板血漿)注射などを併用して皮膚に厚みをだすことで、血管を目立たなくするアプローチを検討することがあります。
当院では血管の状態だけでなく、周囲の皮膚や皮下組織も含めて評価し、自然な仕上がりを目指して治療方法を提案しています。
顔の血管が目立つ症状と、赤ら顔・酒さとの違い
顔の血管が目立つ状態は、赤ら顔や酒さ(しゅさ)と見た目が似ているため、混同されやすい傾向があります。ただし、これらの症状は原因や治療の考え方がそれぞれ異なります。
そのため、見た目だけで判断せず、症状を正確に見極めたうえで適切な治療を選択することが重要です。
一時的な赤みとして現れる「赤ら顔」

赤ら顔は、気温の変化や緊張、飲酒などをきっかけに血流が一時的に増え、顔全体が赤く見える状態を指します。
血管そのものが恒常的に拡張しているわけではないため、スキンケアの見直しや生活習慣の調整によって、症状が落ち着く場合もあります。
炎症症状を伴いやすい「酒さ(しゅさ)」

酒さは、慢性的な皮膚炎の一つで、赤みが持続するだけでなく、ほてり感やヒリヒリとした刺激感を伴うことがあります。症状によっては、膿疱やかゆみが現れるケースもみられます。
主な原因は皮膚の炎症であるため、毛細血管拡張症とは治療の考え方が異なり、皮膚科的なアプローチによる治療が必要となります。
顔の血管治療を血管の専門家が行う理由

顔には細く複雑な血管が密集しているため、治療では単に目立つ血管に薬剤を注入するだけでなく、血管の走行・太さ・深さを正確に見極めることが重要です。
フェイススクレロセラピーでは、治療する血管を選択し、血管の太さに応じて針や硬化剤(ポリドカノール)の濃度・注入量を調整します。そのため、血管の解剖や硬化療法についての知識と経験が求められます。

康静会グループでは、下肢静脈瘤やハンドベインなど、血管治療に長年携わってきた経験をフェイススクレロセラピーにも活かしています。
理事長の岡本慎一医師は、日本脈管学会認定 脈管専門医、日本静脈学会認定 下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医などの資格を有し、下肢静脈瘤の治療実績は累計20,000件以上です。他にも循環器専門医、心血管インターベンション専門医などを有する、血管を専門とする医師が多数在籍しています。
顔の血管治療では、安全性だけでなく仕上がりも重要です。当院では、どの血管を治療し、どの血管を残すのかまで考慮し、自然な仕上がりを目指して治療を行っています。
顔の血管についてよくある質問
顔の血管が急に目立つようになったのはなぜですか?
加齢による皮膚や皮下脂肪の変化、血管の拡張、紫外線による皮膚の変化など複数の原因が考えられます。
一時的ではなく突然強く目立つようになった場合や、痛み・腫れなどを伴う場合には、美容上の問題だけとは限らないため医療機関を受診してください。
顔の青い血管は病気ですか?
目の下やこめかみなどに見える青〜緑色の血管は、正常な静脈が皮膚越しに透けて見えているケースも多く、必ずしも病気とは限りません。ただし、診断は血管の状態や症状を確認して行います。
顔の赤い血管と青い血管は同じものですか?
同じとは限りません。
赤い細い血管は皮膚表面に近い毛細血管・細血管が目立っていることが多く、青〜緑色の血管はより深い位置にある比較的太い静脈が透けている場合があります。そのため適した治療法も異なります。
顔の血管はレーザーで消せますか?
細かな赤い血管には血管レーザーが使用されています。一方で、血管の太さや深さ、数によってはフェイスクレロセラピー(硬化療法)が選択肢になることがあります。
顔の血管に硬化療法はできますか?
血管の種類・太さ・深さ・部位などを診察したうえで、硬化療法が選択肢になるケースがあります。血管のご状態を診察して医師が判断致します。
こめかみの血管が目立つのはなぜですか?
こめかみは皮下組織が比較的薄く、加齢による脂肪量の変化などによって静脈が目立ちやすい部位です。
血管の太さや走行によって治療方法を検討します。
目の下の青い血管は消せますか?
血管の状態によって治療が可能なケースがあります。
ただし目の下は皮膚が非常に薄く、血管だけでなく皮膚の薄さが見た目に影響していることもあるため、両方を評価することが重要です。
顔の血管が気になったら、まず血管の種類を診断することが重要です
「顔の血管が目立つ」という症状でも、その原因は一つではありません。
赤い細かな毛細血管なのか、青〜緑色の比較的太い静脈なのか、あるいは皮膚が薄くなったことで正常な血管が透けて見えているのかによって、適した治療法は変わります。
康静会グループでは、血管治療の経験を活かし、血管の太さ・深さ・走行と周囲の皮膚の状態を確認したうえで、一人ひとりに適した治療方法をご提案しています。
顔の血管が気になる方は、一度ご相談ください。