下肢静脈瘤の治療
下肢静脈瘤の根本的な治療には注射、レーザー、手術など様々あります。
レーザーや高周波などカテーテルを使った最新治療も今は保険で行うことができるようになりました。

どのような下肢静脈瘤にどの治療が良いのか、またそれぞれの治療のメリットとデメリットについて解説します。

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下肢静脈瘤の5つの治療法(保険適応)

下肢静脈瘤の治療法をご紹介しましょう。
5つの治療法をご紹介しますが、まずは根本的な治療となる以下の3つを挙げておきます。

下肢静脈瘤の3つの根本的な治療法

  1. 血管内治療(高周波・レーザー)
  2. 皮膚切開を伴う手術
  3. 硬化療法こうかりょうほう(注射)

1つ目は「血管内治療」です。
高周波やレーザーを使った切らない方法で身体への負担が軽く日帰りで行え、さらに2011年から保険適応になったことから下肢静脈瘤治療の敷居を下げることに成功した画期的な治療です。
下肢静脈瘤レーザー高周波治療

2つ目は皮膚切開を伴う手術です。
この手術には2つの方法があります。

1つは下肢静脈瘤を起こしている血管を引き抜く手術で、通称「ストリッピング手術」と言われています。
もうひとつは再発率が高いため今はほとんど行われていませんが、逆流している静脈血管を根本で糸でくくって止める「高位結紮術けっさつじゅつ」があります。

特に血管を引き抜く手術(ストリッピング手術)は、日帰り治療とはいかずに入院が必要になります。
そのため、従来は下肢静脈瘤の治療がしたくても我慢していた方も少なくないのです。
現在はほとんどが血管内治療にとって変わっています。

そして3つ目は硬化療法こうかりょうほうで、注射でお薬を入れて行う簡易な治療方法です。
硬化剤というお薬を入れて、下肢静脈瘤を起こしている血管を内側から塞いでしまうのです。
硬化療法イメージ図

このように、血管内治療(高周波・レーザー)、皮膚切開を伴う手術(①ストリッピング手術・②結紮術けっさつじゅつ)、注射(硬化療法)の3つが主な治療法となりますが、これ以外にセルフケアとして行う方法もあります。

それが圧迫療法あっぱくりょうほうです。

圧力をかけやすい医療用包帯(弾性包帯だんせいほうたい)や着圧の強い弾性ストッキングで足を圧迫して、足に血液がうっ滞しないようにするのです。

ただこの方法は、他の注射や手術(血管内治療を含む)と違い根本的な解決策ではありません。

あくまでセルフケアとして、症状を緩和する方法なのです。

圧力をかけやすい医療用包帯(弾性包帯だんせいほうたい)や着圧の強い弾性ストッキングで足を圧迫して、足に血液がうっ滞しないようにするのです。

ただこの方法は、他の注射や手術(血管内治療を含む)と違い根本的な解決策ではありません。
あくまでセルフケアとして、症状を緩和する方法なのです。

ここまでをまとめると、高周波やレーザーによる①血管内治療・皮膚切開を伴う手術(1つは血管を引き抜く②ストリッピング手術、もう一つは静脈の根元をしばる③結紮術)、そして硬化剤を注射する④硬化療法、セルフケアとしての⑤圧迫療法の5つの療法が存在しています。

下肢静脈瘤の治療法

ではこれらの治療法はどのように選択すれば良いのでしょうか?
たくさんの治療法があり、これではどうしたら良いか分かりにくいですね。

下肢静脈瘤の治療方法はどうやって選択されるか?

下肢静脈瘤の治療の中で、身体への負担が少ないものを順に並べると、「1.注射・2.血管内治療・3.手術」の順となります。

当然、身体への負担が少ない治療の方が良いでしょう。

さて、下肢静脈瘤の治療をご理解いただくためには、下肢静脈瘤がどのようにして起こっているかを知っていただく必要があります。
下肢静脈瘤の原因は、静脈血液の逆流によります。

静脈は血液を心臓に戻す血管ですから、足の血液を下から上へ重力に逆らって戻しています。
しかし、静脈内にある逆流防止弁が何らかの原因で壊れると重力に逆らえなくなり、結果足に老廃物を含んだ汚れた血液がたまってしまうことになるのです。

下肢静脈瘤と静脈弁の働き

もちろんすべての下肢静脈瘤がこのようにして起こるわけではありませんが、症状が強く治療が必要な下肢静脈瘤は逆流が原因なのです。

詳しくは下記の記事を参考にしてください。

つまり、下肢静脈瘤の中で症状が進行し生活に支障を与えてしまうために治療の必要があるもの静脈血液の逆流を起こしてしまっているものなのです。

逆に言えば、静脈血液の逆流を起こしていないものは軽症ということになります。

下肢静脈瘤にも様々なタイプがあり、静脈が拡張しているだけのもの(糸状・クモの巣状に見えるもの、網目状に見えるもの)、静脈血液が逆流しているもの、逆流がさらに進んでコブになってしまっているものなどです。

これらのタイプに合わせて適切な治療法を選択するのです。

従来は、下肢静脈瘤を起こしている血管の太さと範囲によって度合いの軽いもの(下肢静脈瘤を起こしている血管が細く範囲が広くないもの・逆流を起こしていないもの)は注射で、注射では足りない(血管が太く範囲も広いもの・逆流を起こしているもの)は手術でという考えがとられていました。

こうなると注射で治療できないとなると即手術しか選択肢がなく、これでは治療への敷居は高く治療せずに我慢するという方もたくさんいたのです(しかも、日常生活に影響を与えてしまうほどの症状が出ている下肢静脈瘤はほとんど逆流があるタイプ)。

ところが2011年に血管内治療が保険で行えるようになり、硬化療法と血管内治療が下肢静脈瘤の治療の主流となり、手術で治療を行う必要があるほど重症度の高いものは限られた例になってきたのです。

硬化療法は注射ですし、血管内治療も高周波やレーザーを使用したメスで皮膚を切ることのない身体にやさしい治療法です。
ですからこれらの治療を行う限りは入院の必要もないですし、しかも歩いて帰ることができてしまうのです。

つまり最初に下肢静脈瘤には5つの治療法があると説明しましたものの、現在はほとんどの症例において硬化療法やレーザーなどの血管内治療が多く行われていることになります。

では次に各治療法のメリット・デメリットを含めもう少し詳しく解説しましょう。

下肢静脈瘤の治療方法によるメリット・デメリット

血管内治療(高周波・レーザー)

逆流を起こしてしまっている、弁が壊れた静脈の中にファイバー(カテーテル)を通して、高周波(またはレーザー)で血管を焼く方法です。

下肢静脈瘤レーザー治療

焼いた血管は、小さくなり最後は皮下の組織に吸収されて下肢静脈瘤のもとになっていた血管はなくなってしまいます。

血管内治療(高周波・レーザー)のメリット
  • 皮膚を切開しないので身体への負担が少なく日帰りが可能
  • 術後に痛みは少ない
  • 新しい治療法だが保険適応
血管内治療(高周波・レーザー)のデメリット
  • クモ状・網目状の細い下肢静脈瘤は治療できない(硬化療法が必要)
  • コブが大きい場合、コブを別途取り出す必要がある(スタブアバルジョン法)

ストリッピング手術

逆流防止弁ぎゃくりゅうぼうしべんが壊れてしまった静脈(大伏在だいふくざい静脈)を引き抜く手術です。
逆流を起こした静脈にストリッパーというワイヤーを通して、ワイヤーに静脈をしばりつけて固定し、ワイヤーと一緒に静脈を引き抜くのです。

麻酔は下半身の麻酔(脊椎麻酔)か全身麻酔で行われ、ほとんどの施設で入院が必要になります。

ストリッピング手術

ストリッピング手術のメリット
  • 蛇行した血管の治療を行うことができる
  • 血管自体を引き抜くため、再発が少ない(血管内治療と同等の成績)
  • 高周波やレーザーなどの機器がなくても治療できる
ストリッピング手術のデメリット
  • 静脈を引き抜くときにまわりの神経を傷めてしまうことがある(神経障害)
  • 術後の痛みや皮下出血が強いことがある
  • 皮膚をメスで切開する必要がある(傷が残る)

高位結紮術

逆流を起こしているおおもとの血管を根元でしばる(結紮けっさつする)方法です。
再発が多く、血管内治療がある現在ほとんど行われていません

結紮術のメリット
  • ストリッピング手術に比べて切開部分は少なく負担は小さい
結紮術のデメリット
  • 再発が多い
  • 血液の流れを点で止めるので他の血管の枝は残り、血液のうっ滞をかえってまねくこともある

硬化療法

「ポリドカノール」と呼ばれる薬剤を注入します。
現在は空気と混ぜて泡状にしたものが用いられ「フォーム硬化療法」ともいいます。

硬化療法

硬化療法のメリット
  • 身体への負担が少ない
  • クモの巣状・網目状の細かい静脈瘤に対応できる
  • 血管内治療と組み合わせることが可能
硬化療法のデメリット
  • 治療後数か月はしこりが触れたり、皮膚に色がついたり、痛みがあることがある
  • 太い血管に対しては効果が不確実

おわりに「下肢静脈瘤治療を受けるメリット」

下肢静脈瘤は治療を行うことで、以下のような結果が期待できます。

  • 下肢の血流を向上させ、むくみやだるさが改善する
  • 下肢静脈瘤そのもの(コブ)がなくなる
  • 下肢静脈瘤が招く合併症を防ぐ・治す

下肢静脈瘤そのものは命にかかわる病気ではないですから、我慢してしまっていることも少なからずあります。
また、医師の診察を受けていたとしても圧迫療法(弾性ストッキングを履く)だけにとどまり、結局のところ治療は全くしていないこともあります。

特に下肢静脈瘤では静脈血液の逆流を起こしてしまっているタイプが多く、この場合進行して悪くなってしまいます。
また従来の手術の治療のイメージも強いのでなかなか治療に踏み出せない方もいらっしゃると思います。

現在は高周波やレーザーなどの血管内治療や硬化療法で治療できることが多いですので、症状にお困りの方は一度専門の病院を受診するのが良いでしょう。