最近、「階段の上り下りで膝が痛む」「歩き出しに違和感がある」……。
一口に「膝の痛み」と言っても、痛む場所によってその原因は千差万別です。放置して悪化させる前に、まずは自分の痛みがどこから来ているのか、チェックしてみましょう。
膝の「内側」が痛む場合
膝の痛みの中で最も多いのがこのケースです。特に日本人はO脚傾向があるため、内側に負担がかかりやすいと言われています。
考えられる主な原因
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

加齢や筋力低下により、膝の軟骨がすり減ってしまう病気です。初期は「立ち上がり」や「歩き出し」の痛みですが、進行すると正座ができなくなったり、じっとしていても痛むようになります。
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
半月板損傷は、膝関節内のクッション(半月板)が裂けたり傷ついた状態です。スポーツや加齢による摩耗が主な原因で、痛みや引っかかり感、膝の曲げ伸ばしの制限が生じます。放置すると変形性膝関節症のリスクが高まるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
その他の可能性:鵞足炎(がそくえん)
膝の内側下部にある腱が炎症を起こすもの。スポーツ愛好家や、急にウォーキングを始めた方に多く見られます。
膝の「外側」が痛む場合
階段を下りる時や、スポーツ中に痛みが出やすいのが特徴です。
考えられる主な原因
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)

別名「ランナー膝」。膝の外側を通る靭帯が骨とこすれて炎症を起こします。ランニング、自転車、登山などを趣味にしている方に多い痛みです。
その他の可能性:外側半月板損傷
スポーツでのひねりや、加齢による質の変化で半月板が傷ついている状態です。
膝の「お皿の周辺」が痛む場合
お皿(膝蓋骨)のまわりが痛む場合、骨同士の摩擦や、お皿を支える腱のトラブルが考えられます。
考えられる主な原因
膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)

膝のお皿(膝蓋骨)と太ももの骨(大腿骨)の間の軟骨がすり減り、炎症や変形が起きる疾患です。階段の上り下りや、椅子から立ち上がる時に「お皿の奥が痛む」「ミシミシ鳴る」のが特徴です。
その他の可能性:膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
お皿のすぐ下にある腱が炎症を起こします。ジャンプ動作が多いスポーツだけでなく、急な階段利用などで負荷がかかった際にも痛みが出ます。
膝の「裏側」が痛む場合
膝の裏側が痛む、または突っ張るような違和感がある場合、関節内のトラブルや、裏側の筋肉・袋の異常が疑われます。
考えられる主な原因
ベーカー嚢腫(のうしゅ)

膝の裏にある滑液包が炎症をおこし関節液がたまって膨らんだ状態です。主に変形性膝関節症や半月板損傷など膝の炎症が原因で膝を曲げた時に「裏側に何かが挟まっているような違和感」や「圧迫感」を感じるのが特徴です。
その他の可能性:後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)の損傷・半月板後角断裂
膝を深く曲げた時に裏側に鋭い痛み走る場合、関節の奥にある靭帯や、半月板の後方が傷ついている可能性があります。
膝の「全体」が痛む・腫れている場合
「膝の皿の周りだけでなく、全体がズキズキする」「熱を持って腫れている」という状態は、関節内部で強い炎症が起きている可能性があります。
考えられる主な原因
関節水腫(かんせつすいしゅ)

いわゆる「膝に水が溜まった」状態です。変形性膝関節症などが進行し、剥がれ落ちた軟骨の破片が関節包を刺激することで、潤滑液が過剰に分泌されます。膝全体が重だるく、曲げ伸ばしが窮屈になるのが特徴です。
その他の可能性
関節リウマチなどの全身性疾患 加齢による摩耗だけでなく、免疫の異常によって関節全体に炎症が起きているケースもあります。両膝が同時に痛んだり、朝方に指先など他の関節にもこわばりがある場合は注意が必要です。
変形性膝関節症の可能性がある症状
膝の痛みの中でも、次のような症状がある場合は変形性膝関節症の可能性があります。
- 歩くと膝が痛い
- 階段の昇り降りで膝が痛い
- 膝に水がたまる
- 膝が腫れる
- 正座ができない
これらの症状が続く場合は、早めの診察が重要です。
膝の痛みを放置するとどうなる?
「年だから仕方ない」「湿布で様子を見よう」と放置してしまうと、以下のようなリスクがあります。
1. 痛みの悪化

軟骨は一度すり減ると、自然に元の厚さに戻ることはありません。
2. 筋力の低下

痛いから動かない→筋肉が落ちる→さらに膝への負担が増える、という負のスパイラルに陥ります。
3. 歩行困難

最終的に手術(人工関節など)を検討せざるを得なくなるケースもあります。
「手術を避けたい」方への新しい選択肢:PRP治療

これまでの整形外科では「ヒアルロン酸注射」や「鎮痛剤」が一般的でしたが、現在は自分の血液の成分を利用して組織の修復を促す「PRP治療(多血小板血漿療法)」という選択肢があります。
「手術をするほどではないけれど、ヒアルロン酸では効果が感じられなくなってきた」という方にとって、スポーツや趣味を諦めないための画期的な治療法として注目されています。
膝の痛みは、場所や動きによって原因が特定できます。大切なのは、「自分の膝で何が起きているのか」を正しく診断することです。
当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせ、従来の治療から最新の再生医療まで幅広いご提案をしています。「一生自分の足で歩きたい」と願う方は、ぜひお気軽にご相談ください。