下肢静脈瘤の原因なりやすい人
下肢静脈瘤には様々な原因があります。
ここでは下肢静脈瘤がなぜ起こるのか、その原因としくみ(病態)についてわかりやすく解説したいと思います。

下肢静脈瘤のしくみもできるだけわかりやすく解説しています。
これを理解していただくと、下肢静脈瘤になりやすい人の原因もよく理解していただけると思います。

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こうして起こる!下肢静脈瘤の仕組み

下肢静脈瘤の「りゅう」というのは「コブ」のことを言いますから、下肢(脚)の静脈にコブができるものを下肢静脈瘤と言います。

しかしこの病気の原因・正体は「コブ」ではありません。

腫瘍しゅようのように静脈がコブ化してくるものと考えている方がいらっしゃるかもしれませんがそうではなく、「静脈としての働きが悪くなる」というのが静脈瘤の原因・正体なのです。

悪くなる原因は体質や遺伝、立ち仕事など様々で、これについてはあとで詳しく解説しています

まずは下肢静脈瘤の正体ともいうべき、原因について解説します。

その前に・・・

静脈の働きについて簡単にお話しておきましょう!

血管には大きく「動脈」「静脈」があります。

動脈と静脈

動脈は臓器や手足の先まで酸素や栄養を豊富に含んだ血液を送り出す管のことです。

心臓がポンプの役割をして、1分間に3-5リットルもの血液を動脈を介して送り出します。

* * *

一方、静脈は酸素を臓器・筋肉などに提供した後、体中の老廃物を回収して心臓に戻っていく側の血管です。

静脈には、動脈のように血液を積極的に流す心臓のような装置がありません。
頭などの心臓より高い位置に流れていった血液は重力で自然と心臓に帰っていきますが、特に下半身をまわった血液は重力に逆らわないと心臓に返っていけないのです。

そのため静脈には重力に逆らって血液を返すしくみがあります。

脚の静脈血液が重力に逆らって血液を返すしくみ

足の静脈血を下から上へ返すために、2つの機能があります。

  1. ふくらはぎの筋肉によるポンプ作用
  2. 逆流させない弁の存在

①ふくらはぎの筋肉がポンプになって血液を送り出す!

動脈には血液を送り出す駆動力となる心臓がありますが、静脈には駆動力になるものがないのでしょうか?

実はふくらはぎの筋肉の動きで静脈を押し出し、筋肉がまるでポンプのように作用して血液を下から上へゆっくり心臓に向かって返していくことができるのです。

静脈の筋肉ポンプ作用

②逆流を防止する弁がある

筋肉のポンプ作用で下から上に血液を送っても、また重力によって下に溜まってしまいます。
それを防ぐために下肢の静脈の中には「弁」があり、これによって重力で血液が逆流してしまわないような働きもしています。
静脈の逆流防止弁

下肢静脈瘤では・・・

下肢静脈瘤の原因は「静脈としての働きが悪くなったから」と説明しました。

「静脈の働きが悪い」とは静脈の中にある逆流防止弁がうまく機能せず血液が逆流してしまい、うまく心臓に向かって返っていかない状態をいうのです。

下肢静脈瘤と静脈弁の働き

この結果、静脈血液が足にたまってしまうのです。

  1. ①静脈の逆流防止弁が機能しなくなる

  2. ②静脈が逆流し滞ってたまってしまう

  3. ③静脈内に血液がたまった結果、下肢の血管が膨らむ

  4. ④下肢静脈瘤が起こる

下肢静脈瘤になりやすい人がいる

下肢静脈瘤には、なりやすい人とそうでない人がいます。
簡単に言ってしまえば遺伝的な原因(つまり体質)と環境的な原因があります。

どんな人がなりやすいのかまず挙げてみましょう。

下肢静脈瘤の原因となりやすい人」

これ以外にも、男性よりは女性の方が下肢静脈瘤になりやすく、また運動不足や肥満も関連します。

原因①「遺伝」

下肢静脈瘤には遺伝する傾向があります
体質的に静脈瘤ができやすくなってしまうのです(生まれつき静脈の弁や壁が壊れやすい)。

両親ともに下肢静脈瘤があると90%、片親にある場合には25~62%に起こると言われています。
もし20代、30代と比較的若くに静脈瘤が起こってくるのであれば、遺伝要素、体質的なものが強いと考えられます。

日頃から足の状態をチェックしておき、症状が強くなってくるようであれば早めに受診するのが良いでしょう。

原因②「妊娠・出産」

女性は妊娠・出産をきっかけに下肢静脈瘤ができやすくなります。
それでも出産後に大半は自然に改善していきますが、残念ながら1,2割で下肢静脈瘤の症状はいくらか目立ったまま残ってしまいます。

妊娠時には、女性ホルモンの影響で血管が広がりやすくなること、お腹の赤ちゃんの影響で静脈が圧迫されて血液が心臓に戻りにくくなったりなどして下肢静脈瘤が発症しやすくなります。

最初の妊娠では問題なかったのに、2回目・3回目の妊娠・出産によって下肢静脈瘤が発生することもあります。
中にはコブはあまり目立たず、むくみやだるさだけが症状の場合もあります。
いったん発生してしまうと、その後の妊娠・出産のたびに症状は悪くなる傾向があります。

妊娠中は原則として静脈瘤の治療は行えませんので、症状の緩和目的として弾性ストッキングを履いて経過を見ることになります。
出産後、静脈瘤の程度に応じて治療の方法を検討することになります。

原因③「加齢」

年齢が高くなるにつれ下肢静脈瘤の頻度は上昇します。

下肢静脈瘤なりやすい年齢割合

30歳以上では実に2人に1人が下肢静脈瘤になっている可能性があるのです。

年をとるにつれて静脈の逆流を防ぐ弁が壊れたり、足の筋肉量も減ってふくらはぎの筋肉によるポンプ作用がうまく機能しずらくなって足に静脈血液がたまりやすくなってしまうのです。

原因④「立ち仕事」

長時間立ったままでいると静脈の中の血液がうまく上に返っていかずに足に静脈血がたまってしまいます。
しかも、じっと立っている場合には特に足の筋肉のポンプ機能も働きにくくなります。

立ち仕事の例美容師・理容師・教師・調理師・板前・店員・工場の作業員・警備員など

心臓からは新しい血液は次々と送られてくるため、そうなると足の静脈の血管の壁や逆流を防ぐ弁には負担がかかってきます。

このような状態が長く続くと、静脈の弁はゆるんで十分に閉じなくなり壊れていきます。

足の静脈の逆流を防止する弁がだめになると、静脈血の逆流が起こり、足の静脈には汚れた血液がたまり血管が膨れるばかりでなく様々な症状を起こすのです。

1日に6~8時間以上立ち続けている人に下肢静脈瘤の発生頻度が高いことがわかっています。

同じ立ち仕事でも、歩いている場合には下肢静脈瘤のリスクは軽減されます。

その他の原因

女性

男性よりも女性の方が下肢静脈瘤になりやすい傾向があります(男性の2倍)。

もちろん女性には妊娠・出産というイベントも関連はしますが、そうでなくとも男性に比べて筋力が弱く、筋肉による静脈のポンプ作用が機能しづらいことがあります。

運動不足・肥満

運動不足では、足の静脈の流れは悪くなりがちです。
筋力も衰えますし、ふくらはぎの筋肉ポンプ作用も弱くなります。

肥満が直接的に下肢静脈瘤になりやすいかどうかは賛否両論ありますが、高度な肥満では下肢静脈瘤になりやすいと考えられています。

下肢静脈瘤の原因 Q&A

高脂血症といわれているのですが下肢静脈瘤と関係ありますか?
高脂血症の方では血液がドロドロしています。ドロドロの血液そのものが下肢静脈瘤の発生リスクにはなりません。しかし、下肢静脈瘤がすでに発生している場合にはコブの中で血の塊ができやすくなる恐れがあります。高脂血症は静脈より動脈に対する影響が強いのです(動脈硬化)。
喫煙は下肢静脈瘤と関係ありますか?
下肢静脈瘤の発生に直接関係はありません。高脂血症と同様に静脈より動脈に対する影響が強いです(動脈硬化)。