みなさんは「弾性ストッキング」を利用したことがありますか?
弾性ストッキングとは、足を下から上へと段階的に圧迫する特殊な編み方でつくられている、医療用のストッキングです。履くことでむくみや血液のたまりを予防できます。ひと昔前は医療機関を受診しないと購入できませんでしたが、最近はネットでも購入できるようになりました。

しかし、弾性ストッキングのタイプやサイズ、圧力の違いを自己判断しなければならず、選択を間違えると効果が現れなかったり、逆に血液のたまりを悪化させたりすることがあります。また、長時間着用しすぎると、ムレて皮膚トラブルを起こす可能性もあります。

みなさんは「弾性ストッキングコンダクター」という資格をご存知でしょうか。上記のような間違った着用をしないように、適切なサイズや圧の弾性ストッキングを選ぶための専門的な資格となります。

当院の理事長である私は、この「弾性ストッキングコンダクター」という資格を取得しており、日頃当院スタッフに選び方や着脱方法を指導しています。

今回は、これをご覧のみなさんでもご自身で選択できるように医療用ストッキングの違いや選び方&履き方、購入方法をご説明します。

医療用弾性ストッキングの選び方・注意点

~医療用弾性ストッキングの選び方~

  1. 圧力は弱圧、中圧、強圧の3タイプ。まずは、弱圧から試してみよう。
  2. サイズは、サイズを測るか靴と同じものを選んで。
  3. 長さはひざ下タイプがおすすめ
  4. つま先のあり、なしはお好みで選んで
  5. 価格の相場はだいたい2000~5000円程度

圧力を選ぶポイント「まずは、弱圧から」

弾性ストッキングの圧迫圧は、弱圧・中圧・強圧の3段階で表示されています。名前でもわかる通り弱圧から強圧になるほど締め付けが強くなる機能があります。圧が強くなるほどトラブルも多いので、弾性ストッキング初心者の方はまず弱圧からはじめることをおすすめします。軽いむくみやだるさであれば、弱圧タイプでも十分効果があります。弱圧で効果が不十分と感じた方は、中圧を試してみると良いでしょう。なお、強圧は医療機関でもほとんど使用しませんの。中圧でもむくみやだるさが改善しない場合、医療機関を受診することをおすすめします。

サイズを選ぶポイント「自分の靴と同じもの」

サイズはS、M、Lの3タイプが多いです。ほとんどの場合はサイズごとに添付文章内に足首周囲の長さやふくらはぎ周囲の長さが記載されていますので、実際にご自分で測って合うものを選んでください。
また足の縦の長さで表示されているものは、普段はく靴の大きさで選べば間違いないでしょう。はき始めはきつく感じますが、ゆるくては意味がないものなのでサイズ選びは注意してください。また、半年ほど使用すると素材が伸びてきますので定期的に買い替えるようにしましょう。

長さを選ぶポイント「おすすめはひざ下タイプ」

弾性ストッキングの長さにはAひざ下までの靴下タイプ、B太ももまでのストッキングタイプ、Cおなかまで覆うパンティストッキングタイプがあります。血液がたまるのは、主にふくらはぎですから長さはひざ下タイプまでのAで十分に効果を発揮します。長いほど効果が高いのではないかとお思いの方も多いかとおもいます。しかし弱圧といっても普通のストッキングよりはくのが大変ですので、太ももまでやお腹までの長さだと毎日はくのがめんどうくさくなってほとんどの方は続かないでしょう。高い効果を求めて購入しても途中でやめてしまっては意味がありませんので、毎日継続できるひざ下タイプがおすすめです。

つま先のあり、なしはお好みでOK

弾性ストッキングではつま先まであるタイプ、無いタイプともに治療効果は同じですので、ご自分の好みで選んで頂いてかまいません。例えばなるべくムレたくない方はつま先なしが良いでしょうし、人前で靴を脱ぐことが多いからなるべく普通の靴下に見せたい、といった方はつま先ありを選んでも良いでしょう。

価格の相場は2000~5000円程度

値段は2000~5000円程度が適切です。通常のストッキングに比べると高いですが、あまり安いと編み方が粗悪だったり、かぶれやすかったりする生地を使用している可能性があります。逆にこれより高いと単に販売しているところが値段を釣り上げているだけの可能性があります。

弾性ストッキングの履き方のコツ

弾性ストッキングは、通常のストッキングとは異なり足を締めつけるものなので履き方にコツがいります。なかには履くのが大変で手の指の腱鞘炎になる方もいらっしゃいます。しかし、以下のポイントをきちんと踏まえれば短時間で履けるようになりますよ。
なお、下記の方法ではなくても、通常の靴下のはき方ではける方ははいて頂いてもかまいません。

弾性ストッキングを履くタイミングはいつ?

弾性ストッキングは、一日中履く必要はありません。
基本的には足が心臓より下に位置するとき、つまり立ち仕事やデスクワークをする日中に着用するという使い方で十分です。夜間に着用される方も多いと思いますが、実は夜間だけ着用してもあまり効果が無いことが多いのです。
日中に足を圧迫してあげれば、夜や寝ている間のむくみや足がつったりする症状がやわらげられます。特殊な素材でできている弾性ストッキングを長時間装着することは、皮膚にとってもよいことではありませんので、皮膚トラブルを避けるためにも長時間の装着は避けるようにしましょう。

弾性ストッキングだけでは下肢静脈瘤は改善しません

弾性ストッキングは、あくまでもむくみやだるさをやわらげるものでしかないため、使い続けても下肢静脈瘤が治る訳ではありません。下肢静脈瘤の進行が予防できるということもほぼありませんので、もし、履くのがむずかしかったり履いても症状が軽減しなかったりした場合は、無理に継続する必要はありません。はくことで楽になると感じる方がはくにとどめる商品です。

効果がうすい!と感じたら、専門クリニックへ

市販されている弾性ストッキングでは「効果がうすいかな」と感じた方は、ご自身で選んだものが合っていないか、そもそも弾性ストッキングの適応ではない可能性があります。効果や意味がないのにはき続けでも時間やお金がもったいないですし、その間に病状が悪化したり、ムレによる皮膚トラブルを起こしたりする可能性があります。

足がむくむ、いわゆる浮腫の状態になると、血流が悪い状態であることを示します。健康な状態とは異なるためむくみという現象が起こるのです。ただ、手術などの際に血栓予防のためなどの理由で用いられることもあります。また、静脈還流の促進を目的とします。

弾性ストッキングは医療機器の一種ですので目的に合わせて使用するようにしましょう。
弾性ストッキングは手軽に入手できるがゆえにそれに頼りがちですが、弾性ストッキングを何年もはき続けて症状が進行し、手遅れになっている人がたくさんおられます。あまり過信しすぎずに、弾性ストッキングを3か月くらい継続して、効果が無いなと思ったら専門の医師に相談することをおすすめいたします。

岡本慎一医師監修