下肢静脈瘤について 下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤のコラム

かくれ静脈瘤とは– どうしようもないがんこな足のむくみに悩んでいませんか?

  • 2020/06/03 2020/07/29
  • 監修医療法人社団康静会 理事長 岡本 慎一 医師
どうしようもないがんこな足のむくみに悩んでいませんか?

どうしようもないがんこな足のむくみに悩んでいませんか?

  • マッサージへ行ってもすぐむくんだ状態に戻ってしまう
  • むくみによる足の太さが気になってスカートがはけない
  • ひどいむくみで足が重くて眠れない

上記のように、なかなか改善しない足のむくみに悩んでいたら、一度病院での診察をおすすめします。

しかし、現実はむくみだけで病院へ診察を受けようと思う人は少なく、また何科へいったらよいかわからず、そのまま様子を見て放置している人が多いです。

当院は「下肢静脈瘤(かしじょうみゃうりゅう)」を専門的に診ていますが、この「ひどいむくみ」の原因が、下肢静脈瘤だったというケースが多くあります。

「下肢静脈瘤って足にコブができる病気じゃないの?」と思う方はたくさんおられますが、実はコブができるのは下肢静脈瘤の進行が進んだ、いわば末期症状の状態。瘤になるまでに、足の内部で何十年もかけてゆっくりと進行して、ようやく見た目でもわかるコブになるのです。そのあいだ、既にむくみやだるさといった下肢静脈瘤の症状があっても「足の瘤がないから」と病院へ行かず、長い間不快感に悩まされている方がいらっしゃいます。

下肢静脈瘤は、見ための瘤以外にもむくみやだるさを含むさまざまな症状を引き起こす病気なのです。しかし、この実態はなかなか知られておりません。当院では、この見た目ではわからない隠れた下肢静脈瘤のことを「かくれ静脈瘤」と呼び、啓蒙活動をしています。見た目ではわからないため、下肢静脈瘤だと気づかず、いつまでも足の不快感で悩まされないよう、今回はかくれ静脈瘤がどのような状態かを解説します。

下肢静脈瘤はなぜ起こるかは、下記のページをご覧ください。

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このコラムの目次

かくれ静脈瘤は20代から発症することも

かくれ静脈瘤は20代から発症することも かくれ静脈瘤は20代から発症することも

下肢静脈瘤は、ご年配の方々の病気というイメージがあるかもしれません。

これをお読みのみなさまもご家族を思い返し「そういえばおばあちゃん(またはおじいちゃん)がなっていたな」と思う人もいるのではないでしょうか。

それは、前述で触れたとおりご年配の方々が進行した下肢静脈瘤であったからに過ぎません。

進行がはじまる前の初期段階も含めれば、20代から発症しているとても身近な病気なのです。下肢静脈瘤は、足の血管である静脈のなかの血液の逆流を防ぐ逆流防止弁がこわれてしまい、うっ滞してしまう、足の血管の病気です。

20代の皮膚は、とてもハリがあるため、うっ滞して静脈がふくらんでいても皮膚が押さえ込んでしまいます。そのため瘤がわからずに自覚症状がありません。

しかし、エコー検査で血管の内部の状態をみてみると血液の逆流がおきているため、ひどいむくみやだるさといった症状がでます。

いつまでたっても改善しないむくみやだるさがあっても「まだ20代だから下肢静脈瘤ではない」と決めつけず、若くてもなりうる可能性が大いにあることを知っていただければ、適切な対処法をしれたり、治療のタイミングを逃さずにすみます。

年齢や見た目の変化にとらわれず、ひどいむくみやだるさを感じたら「かくれ静脈瘤」を疑った方がよいでしょう。

女性は妊娠・出産により急激に悪化するケースも

下肢静脈瘤は、男性よりも女性の方がなりやすいという研究結果があります。それは、女性の方が男性に比べて筋力が弱いため、ふくらはぎを流れる血液を心臓へもどす筋ポンプ作用が働きにくいためと一般的に言われています。

さらに、出産経験のある女性の2人に1人が発病するともいわれています。これは妊娠時に分泌される女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモン(エストロゲン)が血管をやわらかくして広げる作用があり、そのため静脈がやわらかくなり逆流防止弁が壊れやすくなってしまうからです。

そして、赤ちゃんの成長により子宮がふくらんでいくことで中心の静脈を圧迫し、血液が戻らなくなることで発症リスクが高まるためです。

妊娠中は手術ができません 妊娠中は手術ができません

妊娠中は手術ができません

下肢静脈瘤の症状があっても、妊娠中は使用できる薬が制限されているので手術ができません。その間、かくれ静脈瘤から徐々に進行しコブができる静脈瘤へと進行してしまうことがあります。静脈瘤になってしまっても、出産後はご自分のことよりもお子さまが中心の生活になり、病院へ行く時間をつくるのも一苦労かと思います。お母さまが元気でいることは、ご家庭やお子様のために一番です。下肢静脈瘤は自然治癒しない病気なので、根本的な治療をしない限りずっと症状に悩みます。

今後のライフスタイルの変化も考え「最近足の調子がわるいな」と感じる人は、早めに専門医でのエコー診察をおすすめします。

エコー診察は保険が適用 エコー診察は保険が適用

エコー診察は保険が適用

下肢静脈瘤になじみがない人は、特殊な病気に感じ高額な診察料がかかるイメージを持つ方もいるかもしれませんが、エコー診察は保険が適用されますし、当院の価格は3,000円程度とそれほど高額ではありません。

足のむくみの原因はさまざま、自己判断せず病院で検査することが大切

これまでひどい足のむくみの原因は、下肢静脈瘤(かくれ静脈瘤)かもしれないとお伝えしてきました。しかし、下肢静脈瘤だけでなくさまざま要因で足のむくみはおきます。

ここでは足のむくみについて解説します。

足のむくみの原因は主に3つ

  • 1 筋ポンプ作用が働いていないため
  • 2 静脈内の逆流防止弁が壊れたため
  • 3 1&2により足にたまった血液が静脈を圧迫し、老廃物を含んだ血漿(けっしょう)が血管外へ染み出てたまるため

ふくらはぎを通る静脈の血液は、足を動かすたびに、筋肉が収縮と弛緩(しかん)をくり返し、ポンプのように心臓へ戻ります。しかし、長時間立っている状態が続くと足の筋肉が動かずポンプ作用が働かずに足に血液がたまってしまいます。

また、心臓へ戻る血液の逆流を防止する「逆流防止弁」が壊れても、重力に引かれるままに血液が下へ流れて足に血液がたまってしまいます。

足のむくみの原因は主に3つ 足のむくみの原因は主に3つ

静脈に血液がたまると血管が圧迫され、血漿(けっしょう)と呼ばれる血液中の不要になった細胞や老廃物を含んだ水分が血管外へ染みでて、水分がたまってしまいます。これがむくみの原因です。

立ち仕事の方が、むくみやすいのは足を動かすことが少ないため筋ポンプ作用が働かず足に血液がたまりやすくたるためです。

下肢静脈瘤以外のむくみの原因

  • 飲酒

    飲酒 飲酒

    アルコールは利尿作用があるため、体内の水分を外へ出し血管内は脱水症状状態になります。それを防ぐため、体はもっと水分が欲しくなりどんどんお酒が進んでしまいますが、どんどん尿となり外へ出ていますという悪循環になります。

    さらに、アルコールは血流をよくし血管を拡張させる作用もあります。これは、血管とその周辺の細胞や組織の間で起こる水分や栄養分の移動が進んだ状態で、血液中の水分が外へ染みでやすくなるためにむくみます。

  • 過度な塩分摂取

    過度な塩分摂取 過度な塩分摂取

    お酒の席では、お酒に合う味が濃いおつまみがセットですがこれも要注意。塩分濃度が高い味が濃い料理は喉が渇くため、お酒がどんどん進みます。

    さらに、塩分を取り過ぎると血液中の水分が増えて、むくみの原因となります。

  • 肥満

    肥満 肥満

    肥満により脂肪が増えすぎると、静脈を圧迫してしまい血流が低下してしまいます。

    また体重が増加すると歩くのもおっくうになりふくらはぎの筋ポンプ作用も働きにくくなります。

ご自分で見極めるのは非常にむずかしい

ご自分で見極めるのは非常にむずかしい ご自分で見極めるのは非常にむずかしい

これらのむくみを引き起こすさまざまな原因を、「肥満によるもの」、「最近飲み過ぎたせい」とご自分で見極めるのは非常にむずかしいです。

下肢静脈瘤以外にも、肝臓、腎臓、心臓の病気によるサインも考えられますので、ひどいむくみが続く場合はきちんと病院で検査してもらいましょう。

  • 2020/06/03 2020/07/29
  • 監修医療法人社団康静会 理事長 岡本 慎一 医師

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